東南アジアにおけるインダストリー4.0へのキャズム

東南アジアにおけるインダストリー4.0へのキャズム

東南アジアがインダストリー4.0に向かうにあたって

様々なメディアで語られる機会の増えた「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉。
ドイツが推進する製造業の高度化を目指す戦略的プロジェクトであり、2014年あたりから日本でもバズワードとなり、IT業界や製造業界以外でも知られるキーワードになった。

インダストリー4.0とともにIoT(Internet of Things)、クラウド、AI(人工知能)、ビッグデータといったキーワードも盛り上がりを見せるものの、肝心のインダストリー4.0によって中小の製造業が現場レベルで活かせる答えはまだ見つかっていない。
製造コストの削減や効率化、インターネットを通じてあらゆるモノやサービスが連携するといった概念は知っていても、現場では何から手をつけてよいかがわからないのが現状である。

東南アジアにおいても、多くの製造業がインダストリー4.0という概念を理解しているものの、ドイツ、アメリカ、日本といった先進国が取り組むプロジェクトという認識があるように感じる。

背景としては、いまだに製造現場における担当者のシステムやITに対するリテラシーの低さ、人件費の安さ、そして導入まで長いスケジュールのため駐在員の滞在中では実現出来ない点が挙げられインダストリー4.0の実現には程遠い。

しかし、インダストリー4.0は世界的な動きとなっており、各先進国の問題は東南アジア・タイにとっても遠い未来の話ではなく、インダストリー4.0に向かう過程での製造現場の”見える化”は目の前にある課題解決に繋がる可能性を秘めている。
インダストリー4.0と東南アジアの溝を埋めるために、何を考え、何を行えばいいのかを東南アジア・タイの製造現場から考えていきたい。

インダストリー4.0とは何か

そもそもインダストリー4.0とは何か。第1次産業革命が、18世紀後半に始まった蒸気機関による工場の「機械化」、第2次産業革命は19世紀後半から始まった電力の活用による「大量生産」の開始、第3次産業革命は20世紀後半に始まった電気とITを組み合わせた「自動化」を指す。そして、IoTが生み出す価値がインダストリー4.0(第4次産業革命)である。

インダストリー4.0を最初に提唱したのはドイツであり、これらの背景にはドイツの製造業の危機感があった。
ドイツは国内産業の中で製造業の比率が高いが、最終製品のサイクルスピードは速まり、生産自動化システムのエンジニアリングが間に合わないという問題を抱えていた。

オートメーション化を図るとそのセッティングが終わった頃には、次の新しい製品に変わっているという状況では機械による自動生産は難しい。生産能力向上も目覚ましい中国や台頭する人件費の低い国、グーグルなどのIT企業が製造領域への進出を加速させている米国に対抗するために、製造業にITを導入し革新を起こす必要があった。

一方、日本はドイツ同様に、製造業が国の経済成長の大きな比率を支えている一方、少子高齢化が進み、労働力不足やエネルギー不足という問題を抱えている。さらに中国が製造立国として品質面でも追い付いてきた他、ITに強みを持つ米国の製造業回帰の動きにも不安を感じている。そのため、インダストリー4.0で示す生産効率化を実現することは、今後の日本ならずとも世界の指針とも言える動きとなっている。

しかし、このインダストリー4.0のビジョン完成を目指す中で、日本の中小企業にとっては出発点こそが最大の課題となっている。
出発点とは何か、データの取得である。インダストリー3.0がITを組み合わせた自動化だとすると、まだ3.1に向かっている途中とも言える。

インダストリー3.0から4.0へのキャズム

今までもデータによって最適化するということはITでは行われてきたが、製造業のIoT化は多くのメリットがあり、製造業が抱えるコスト削減や製品の品質・価値向上といった課題を解決できる。
それにも関わらず、東南アジアの日系製造業でIoTによるデータ取得が出来ている企業は多くはない。

IoTは、今まで接続できていなかった領域がつながることでデータを収集できるようにし、そのデータを分析することで従来にない知見や価値を生み出すという仕組みである。
ただ、そもそものデータ取得が実現できなければ価値を生み出せないため、工場現場のIT、IoTの導入が必須になる。

多くの企業が人手と時間をかけて現場を動かしているものの、東南アジアならではの課題や日本ではあり得ないような課題もあり、どれも根本的な解決につながっていない。
インダストリー3.0から4.0へのキャズムを見える化しなければ、その溝は深まるばかりである。

IoTを取り組むにあたり、企業規模を問わず最初の段階はスモールスタートから始めることが多い。
そのためIT業界のスピード感を製造業で行うことで今までにない価値を生み出すことが可能になる。東南アジアでも安価に多くのITソリューションが出てきているからこそ、システム導入や自動化に対して再度、検討を行う時期に来ているのかもしれない。

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ネクストインダストリー株式会社 “タイ製造業にIoT導入を支援”
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